シ​ノ​ザ​キ​サ​ト​シ​ ​税​金​対​策​編

from Kindan No Poetry Reading by Kindan No Tasūketsu

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lyrics

1.シノザキサトシ 税金対策編 作詩:シノザキサトシ

「さぁ踊ってください!お酒はまだまだたんとありますよ!」
何年も彷徨い歩いた迷宮を、たったいま抜け出したかのような、アッパーな市長は叫んだ。
「1分そのままチェックタイム!心音チェックタイム!」
唄いながら街中の若者が我を忘れてブレイクダンスしている。
私はその光景を楽しみながら、ふと目に止まったレストランに入り、スパイシーサンドとジンジャーエールを注文した。
街の陽気な雰囲気につられて、普段は寡黙な私も
「この街のバケーションは、いまだかつて見たことがない華やかさだ」
と店員に話しかけたほどだ。
私の言葉に店員は相好を崩す。
「今日は5年に一度の税金全部使い切りの日ですからね、みんな色とりどりの唄を乗せていつもより派手にダンスしています」
カウンターに座り、気分よくジンジャーエールの炭酸が浮遊しているのを眺めていると、いつのまにか日が沈んでいた。
店を出ると、街の雰囲気が少し変わっているのに気付いた。
辺りを見渡すと、若者のブレイクダンスはスクワットに替わっていた。今度は若者達は我を忘れてスクワットをしている。
その異様な光景に私は何か危険なものを感じ、どこからかやってきた仮装行列に紛れ込んで身を隠した。
その中にいた気取った出で立ちの男に話しかけた。
「ブレイクダンスがスクワットに替わったのは、何故だ?」
男は答えた
「この葡萄を一緒に召し上がりませんか?」
「葡萄?」
すかさず男の手元を見て私は驚愕した。
男の掌で少女がベースを弾いている
少女が奏でたベースフレーズの魔法で私はト音記号となったのだ。

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from Kindan No Poetry Reading, track released November 29, 2014

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